Hitorikaigi Journal

読書が本からkindleに変わった書店員の一人会議録

農業は知らないことが多すぎておもしろ過ぎる─『タネが危ない』など

 

妊娠してからというものタブレットで本を読むのもつらくなって、紙の本ばかり読んでいる。

で、どんな本を読んでいるかというと、もっぱら農業(的)な本だ。

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はじまりは高城剛さんのポッドキャストで野口勲さんのお話を聞いてからだった。

早速『タネが危ない』という本を読む。

著者の野口勲さんは全国各地の伝統野菜のタネを扱うタネ屋さんを経営している。

内容を簡単にいうと、タネには固定種とF1種とがあり、固定種は自家採取が基本の、地域の宝として受け継がれてきた野菜たちのこと。

一方、F1種とは花粉のできない突然変異の個体を大量にコピーしたもの。

いま商品として出回っている野菜のほとんどはF1種なんだそうだ!

なぜ子孫をつくれないF1種が市場を席巻したのだろうか。

F1種だと、農家の人は毎年タネを買わなくてはならない。

だから種苗会社が儲かる。

おまけにF1種は病気に強く、成長も早く、収穫物も大きさが均一で、見栄えがよく運搬に向いている。

ただし、農家の人によると「F1種はマズくて食べられたものではない」らしい!

 野菜の味の違いなんて正直分からない。

でも『となりのトトロ』で川で冷やした大きなキュウリをメイちゃんが頬張るシーンがあるが、あのキュウリは固定種に違いない(うまそうだもん)。

 

続いて小泉武夫さんの『いのちをはぐくむ農と食』を読む。

この本は「岩波ジュニア新書」で中高生くらいを対象としているので、農業のことを全く知らない私でも分かりやすく読めた。

いま日本の農業は危機的状況にあることが小見出しだけでも伝わる。

「農業後継者が5,000人を割っている」「日本の自給率は40%を割っている」「日本では毎日300万人分の食べ物を捨てている」などなど。

日本人は「安全・安心」「おいしさ」よりも「安ければいい」という価値観を食べものに持ちがちだ。

確かに私たちが食べものを買う基準は、原材料や原産地よりも、値段やパッケージのイメージだったりする。

 

農業(=食)は私たちの生活そのものなのに、知らないことが多すぎて、その手の本を読む度に新しい発見があっておもしろい。

微力ながらも自分にできることは何かを考える。

それは自分の新たな可能性を開いた気がした。

F1種のことを知って、まずは固定種の野菜の味を知りたいと思う。

それは日本の農業の危機だからというよりは「うまいものを食べたい」という欲望に過ぎないんだけど。

 

本当にうまいものの情報は、「食べログ」をいくら探しても載ってないみたい。

 

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