Hitorikaigi Journal

読書が本からkindleに変わった書店員の一人会議録

「逃げ恥」の「呪い」について─自分でかけた呪いを解く方法

 

「逃げ恥」の9巻(最終巻)が出た。

逃げるは恥だが役に立つ(9) (Kissコミックス)

 

 

ドラマの方は、見始めるタイミングを失ってしまい、

結局全く見てないので、どこまで原作に忠実なのか知りません。

まして「恋ダンス」がどういうダンスなのかも知りませんが、

「逃げ恥」が「少女マンガ」という枠を越えてきた作品なのは

間違いないと思います。

 

一般的な少女マンガは「幸せな結婚」がゴールです。

しかし「逃げ恥」は結婚を最適化できるかがスタートなのです。

主人公のみくりさんは1巻で平匡さんと契約結婚をしますが、

みくりさんの主軸は最初から最後まで「就職」なのです。

さらに「未婚・処女・閉経」である、みくりの叔母の百合さん、

ゲイの沼田さん、結婚相手を就職先と同じように値踏みする五十嵐さんなど、

それぞれの人物が魅力的で、

多様な価値観をもった人物が登場します。

 

9巻のあとがきで作者の海野つなみさんは、

「逃げ恥」を「呪いの物語」と書いていて、

なんとなくこのマンガの秘密がわかったような気がしました。

この「呪い」が解ける瞬間というのが、

このマンガの見せ場なんじゃないだろうかと。

 

みくりさんの呪いは、

初めての彼氏に別れ際「小賢しい」と言われたこと。

気にしてないつもりでも、

何をしても自分が「小賢しい」ように思ってしまう。

まるで「呪い」のように。

しかしあるとき、平匡さんの何気ない言葉で

みくりさんの呪いは解かれます。

 

百合さんは、社会的地位を持ちながらも

結婚も恋愛も諦め、

生涯独身で生きる女性の手本になりたいと願っています。

しかし、恋敵と思い込んだ初対面の五十嵐さんに

「自分で自分に呪いをかけているようなものよ」と

大人の対応で諭す百合さんですが、

一方で自分の言葉に驚いていました。

それは、そのままそっくり自分のことだったのです。

 

そして晴れて好きな人と結ばれるとき、

「どうして一人で戦おうと思ったのだろう

何と戦おうを思ったのだろう

これもまた呪いだったのだろうか」

と気づくのです(ここ泣けるところです)!

 

私も具体的に何かはわからないけど、心の奥深くに、

誰かから言われた言葉や、傷ついてしまったことが、

そのままになっていると感じます。

「逃げ恥」を読んで思ったことは、

呪いを解くためには自分と対話するより、

他人に話した方が手っ取り早いということ。

他人に話すことで呪いは独りよがりの、

大したことないことだって分かります。

 

 

 

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