Hitorikaigi Journal

読書が本からkindleに変わった書店員の一人会議録

「一汁一菜でよいという提案」はなぜ売れているのか

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最近、実用書で売れている本が、

土井善晴さんの「一汁一菜でよいという提案」です。

 

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いわゆるレシピ集ではなく、

『「ご飯、味噌汁、漬け物」を原点とする食事の型』

を基本としましょうという「提案」の本です。

 

「一汁三菜」という言葉はよく聞きますが、

「一汁一菜」はきっと多くの人が驚く提案だと思います。

 

日本には「ハレ」と「ケ」という概念があり、

料理における「ハレ」は「神様のためにつくる料理」、

例えば、お正月のおせちのように手を掛けて、願いを込める料理のこと。

一方、「ケ」は日常の食事のこと。

土井さんは、「ケ」の食事が「ハレ」化していることに

違和感を感じているようです。

 

私たちがものを食べる理由は、おいしいばかりが

目的ではないことがわかります。

メディアでは「おいしい」「オイシイ!!」と盛んに言われていますが、

繰り返し聞かされている「おいしいもの」は実は食べなくても

よいものも多いことがわかります。

 「普通においしい」という言葉がありますが、

ちょっと悪い意味も含んでいますよね。

でもおいしいものって毎日食べてたら飽きますよ。

毎日食べるのであれば、

「まいうー」である必要はなく、

「普通においしい」方がいいと私も思います。

むしろ、シンプルな素材でつくった料理の方が、

涙が出そうなくらいおいしいときがあるのです。

 

素材を生かすには、シンプルに料理をすることがいちばんです。

ところがこの頃は、先述のように手を掛けなくてはいけない、

手を掛けたものこそが料理だと思っている人が多い。(略)

そのプレッシャーをまともに受け取った忙しい人たちは、

できあがったものにトッピングしたりして、

複雑にすることでなんとかできると思うようになり、

それがまた「手を掛けること=お料理すること」という

誤解を助長させています。

けれども、私にはそちらの方が手抜き料理に見えます。

ネットなどを見ていますと、

「家事の負担が減って楽になった」 と評判なっているようです。

「手を掛けて見栄えをよくする」ことが多くの人にとって

どれだけ負担となっていたことでしょう。

今まで信じていた常識を見事に裏切る。

そこがこの本の売れている理由だと思います。

 

私はもともと一汁一菜スタイルだったので

アレですが(笑)、

つくりおきの味噌汁がないときは、

土井さんの「手早く作る一人前の味噌汁」をつくっています。

 

料理に掛ける時間が減れば「余暇」が生まれます。

そうすると、

「たまには旬の魚を出してみようか」

「あの人の誕生日プレゼントを買おう」

と思う余裕が生まれます。

私たちの生活に本当の意味での「余暇」は少ないですが、

そんな素敵なアイデアが溢れてくる状態を

「クリエイティブ」というのでしょう。

 

 

 

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