Hitorikaigi Journal

読書が本からkindleに変わった書店員の一人会議録

中原中也の決死のユーモア感にしびれる

 

 

2017年1月のNHKの「100分de名著」は

詩人の中原中也です。

山口県出身の父の影響で高校時代から

中原中也の詩を愛読している私は、

軽く小躍りするぐらいうれしい。

しかもゲストの俳人穂村弘さんも大ファンなので、

楽しみです。

 

今でこそ中原中也は「文豪ストレイドックス」の

主要キャラクターとして有名で、

先日、中国人の女の子に

中原中也の詩集ありますか」と

きかれたぐらい人気なのです(!)

かくいう私も、

中原中也の顔写真を見てから

詩を読むようになったのですが(汗)

 

中原中也の代表作といえば

「汚れちまった悲しみに……」ですが、

中原中也の詩って暗くて悲しいイメージがありますよね。

それは、中原中也のドラマティックで

悲劇的な生涯がそうさせているのでしょう。

 

中原中也山口県のけっこうなお金持ちな家に生まれます。

幼少時に可愛がっていた弟の死があり、

詩作をするようになりました。

そして青年になり、恋をして、

一緒に上京した恋人を、

同級生だった小林秀雄(文芸評論家のすごい人)に取られてしまいます。

酒癖が悪く、喧嘩っ早いので、いろんな文豪の方と仲が悪かったようです。

その後、違う人と結婚して安定したように見えましたが、

長男が2歳で亡くなってしまいます。

それから心身が衰弱し、30歳という若さで

この世を去ってしまいます。

 

このように「死」や「喪失」が付き纏う生涯だったようです。

しかし、私がここで言いたいのは、

だからといって中原中也の詩は暗くはなく、

むしろユーモアがあるよということです。

 

私の好きな詩に「骨」がありますので、

一部分を引用します。

ホラホラ、これが僕の骨だ、

生きていたときの苦労にみちた

あのけがわらしい肉を破って、

しらじらと雨に洗われ、

ヌックと出た、骨の尖。

 

それは光沢もない、

ただいたずらにしらじらと、

雨を吸収する、

風に吹かれる、

幾分空を反映する。

 

生きていた時に、これが食堂の雑踏の中に、

座っていたこともある、

みつばのおひたしを食ったこともある、

と思えばなんとも可笑しい。 

あるいは、絶望のどん底で書かれたと思われる「秋日狂乱」。

僕にはもはや何もないのだ

僕は空手空拳だ

おまけにそれを嘆きもしない

僕はいよいよの無一文だ

(中略)

ではああ、濃いシロップでも飲もう

冷たくして、太いストローで飲もう

とろとろと、脇見もしないで飲もう

何にも、何にも、求めまい!……

 絶望のどん底で、

「濃いシロップを太いストローで一心不乱に、トロトロと飲んでいる人」

を想像すると、

本人は必死なんだけど何か笑えると思いませんか。

「決死のユーモア感」は最強です。

 

中原中也の詩は「死」や「喪失」と向き合っていますが、

発想の面白さや言葉の組み合わせの妙が素晴らしく、

今読んでも全然面白いのです。

 

私が持っているのは新潮文庫版のこちら。

引用した詩は読みやすくするために一部現代語に直してます 。

 

「文豪ストレイドックス」の表紙バーションが角川文庫から出てました。

角川は商売上手だなー。

 

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