Hitorikaigi Journal

読書が本からkindleに変わった書店員の一人会議録

私が書店で働く理由

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上層部からのお達しに

「書店は斜陽産業ですから」と書いてあると

「ああ、やっぱりそうなんだよな」って思う。

書店の売上は年々下がっており、

書籍は昨年「火花」がバカ売れしたものの、

ミリオンセラーなんて今はほとんど出ないですから。

 

理由は電子書籍が出てきたというのも大いにあるでしょう。

実際、私も読書はもっぱらkindleです。

 

読みたい本があって、kindle版が出てなかったら

テンションがた落ちです。

(だからといって紙の本を買う気にはなれない)

でもそれだけではない気がする。

 

出版業界は「再販制度」に守られています。 

本当に出版業界が終わるのは、

再販制度がシステムクラッシュするときです。

そして、そのときはそんなに遠くないと思われます。

 

再販制度がわからない方はこちらを見てね)

よくわかる!再販売価格維持制度(再販制度)のメリットと仕組み : 出版・書店業界がわかるWebマガジン KOTB[コトビー(ことびー)]

 

再販制度が崩壊すれば

書店だけじゃなく、取次、出版社は

かなりの数が消滅するでしょう。

そして作家さんはどうなるのだろう…。

少なくとも、作家さん自身も「売る」ことをしないとやっていけないでしょうね…。

 

それまでにはこの大きなシステムと関係ないところにいたいなぁ…。

とはいえ!

その後も本に関わる仕事はしたいと思っています。

それは何でだろう?

書店で私が働く理由について一人会議してみました。

 

単純に紙が好き

私は書店に勤める前は印刷会社に勤めていました。

とにかく紙が好きです。

紙フェチなんです。

昔はデザインが素敵なチラシとかパンフレット、ハガキとかいっぱい集めてました。

「断捨離」と引っ越しでほとんど捨ててしまいましたが。

紙を触る仕事ができるのは最高ですね。

見た目のデザインも重要ですが、本の手触りも大切です。

読む前の第一印象ですから。

ツルツルしてるのか、ザラザラしているのか

全ての情報はその本に直結しています。

 

この前、三島賞を獲った

蓮實重彦の「伯爵夫人」は

表紙が非常にヌットリしていて気持ち悪いです。

書店に行ったらぜひ触ってみてください。

 

 

タイトルも大切です。

タイトルを見ているだけでも、

今、こんな人たちが注目されていて、

こんなキーワードなのだというのが

何となくわかります。

毎日、入荷する新しい本を

一番最初に見れるというのも楽しい。

 

電子書籍も書籍じゃないのか?

個人的には、

紙の本が売れないのは仕方がないと思います。

電子書籍がもたらす恩恵が紙の本を上回るなら

衰退するのは仕方がないです。

 

本というのは、紙に文字が書いてあって、それを束ねたものです。

ハードは紙、ソフトは書かれている文字の内容。

別のものだと考えると

紙の本が売れなくても

電子書籍でも内容がたくさんの人に

読んでくれていればいい、

と私は思います。

 

電子書籍コーナーを設置している書店がありますが、

何かやる気がないというか、おざなり感があります。

紙の本と電子書籍に詳しいコンシェルジュ的な人が、

両方のメリット・デメリットを説明できたらいいと思います。

ライバル関係と言ってたら両方潰れてしまいます。

 

文化を消したくない

私は10代の頃、

音楽や小説や映画、アートなど

いわゆる文化的なものに

かなり救われました。

そのころ吸収したものが、

血となり肉となり、今の私の人格をつくっています。

 

もし出版がビジネスだけに使われていけば、

プロモーションのためだけに使われていったら、

それはつまらないものになるでしょう。

新しいアイデアや表現がなくなっていったら、

それはもう、日本の衰退に直結します。

日本と衰退いうより、私が困ります。

文化的なものに対して

少しでも恩返しをしたい。

 

脈々と続いている文化の流れを

出版業界が一部担っています。

その文化の灯火を消したくないという思いは、

もし書店を辞めたとしても、

変わらないでしょう。

 

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